その日は家族旅行に出かけ、
予約してあった漁港が見える
山の斜面に併設された旅館に泊まる予定でした。
旅館に到着し、フロントで受付を済ませた後、
仲居さんに連れられ部屋へと案内されます。
斜面に併設されているので、
フロントが一階で一番上の階、
客室は半地下のB1、B2までありました。
半地下ということもあり、旅館内の暗く狭い廊下をついて行き、
一番奥の部屋が私達家族の部屋でした。
内装は和風の露天風呂付き離れというイメージです。
寝室は奥にありましたが、一段上がったところに畳が敷いてあり、
梁が見えるオシャレな造りに見えました。
楽しみにしていた家族旅行ではしゃいでいたという事もあり、
早々と夕食と風呂を済ませ、布団に入り家族全員就寝しました。
しばらく寝ていたと思います。急に金縛りに襲われ、
体が重く自分のものでないような感覚に襲われました。
心臓が早鐘をうち、冷や汗が吹き出します。
ハッと目が開いた瞬間、見てしまいました。
剥き出しの梁から紐でぶら下がった人影が1つ、
私の布団の上にあったのです。
ドキッとした後、もう覚えていません。
次に目が覚めたのは夜中の1時でした。
夢だったのかな…嫌にしっかり覚えているけど…
なんて考えながらも心臓がドキドキして手の震えが止まりませんでした。
もうそこで寝る気にはなれず寝室から出て、
居間でお茶でもいれようかと思っていたら、
寝室からうわぁ!と主人の悲鳴が聞こえました。
まさか…!嫌な汗が吹き出て慌てて行ってみると、
大人の手のひらほどもある大きな蜘蛛が主人の横にいたのです。
なんだ…と思いながらも蜘蛛が苦手な私達夫婦はフロントに電話し、
職員さんにとってもらいました。
私にはその時何故か職員さんがまたか…
と言う顔をしたように見えたのですが、
夢だったかもしれないし、なんだか言い出せませんでした。
目が覚めてしまった家族全員はその後もう一度寝付きましたが、
私はまた金縛りにあったら…と思うと寝られませんでした。
翌日、チェックアウトして車に乗り込み、
帰り道の途中で主人に昨夜の事を話してみたんです。
すると、主人は言いました。お前も見たのか…と。
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