私が高校の時の怖い話です。

漫画が好きな女子が数名集まって漫研を作り、
顧問の先生が社会科の担当ということで、
普通の教室の倍はあるだだっ広い
「社会科室」という教室の窓際の一角に固まって、
毎日のように好きな漫画のおしゃべりをしたり、
いたずら書きをしてりして放課後を楽しんでいました。

たまに、他の部の女の子も遊びに来たりと出入り自由な感じで、
毎日、放課後がとても楽しかったのです。

その日もいつも通りに社会科室に部長だった私が
カギを持って向かったところ、仲の良かったSちゃんが
社会化室の前に真っ青な顔で立っていました。

Sちゃんは、誘っても「特別棟は嫌い」といって、
社会化室には一度も来たことがなかったので
「どうしたの？珍しいね？」と話しかけると、
「今日はこの部屋、入るのやめて！」と、突然言い出したのです。

物静かなおっとりしたSちゃんが、
ちょっと大き目の声で言ったのでびっくりして
「なんで？どうしたの？」と、
聞いてるあいだに他の仲間も集まってきました。

するともう一人、Tちゃんが「今日はやめよう」と・・・。
このTちゃんとSちゃんは、俗にいう「見える人」でした。

Sちゃんが「もう、先客がいるから」と。
「あそこの椅子、座ってる。」と。

「いつも来てるでしょ」と。

ドアの小窓から見ると、一番後ろのドアから3個目の椅子が、
ちょうど人が一人分座っている程度にひいてありました。

掃除の後です。

椅子はいつもカギを開けて入ったときは、
綺麗に机にぴったりつけてありました。

今日もそうでなくてはおかしいのです。
なのになんで、人が座ってるみたいに空いてるの？

顧問の先生から帰るときは整理整頓してと言われてたので、
毎日、椅子をきちんともとに戻していました。

よくよく考えると、あの、今、誰かが座っているかのような席も、
なんでひいてあるのかわからないまま帰り際には、
ぴったり机に戻したことがありました。

Tちゃんが、「たまに、途中から来てたんだよね。
害はなさそうだから言わなかったけど・・・。」と言葉を濁しました。

ざわっと鳥肌が立ったのを覚えています。

結局、その日はそのまま社会化室には入らず、
皆で帰りました。

その後、私たちより先に、その誰かさんは来ることはなくなりました。

ただ、「あ、また来てたんだ・・・。」と、
同じ席に座っていた形跡は何度もありましたが・・・・・。

音もなくやってきて、同じ席に座って、
にぎやかにおしゃべりする私たちを、
ただ眺めていた誰かさん。

今も、同じ社会化室で他の生徒たちを眺めているのでしょうか・・・・・？