今では閉店してしまった、
ある激安ショップの実話です。
豊富な品揃えと地域最安値を誇るD店には、
腕時計やアクセサリーなどの高級商品を扱っている
テナントが入っていました。
ある朝のことでした。
開店前の出来事です。
ショップ内が騒然としました。
高級テナントの商品ケースのフタが床に落ちていたのです。
3階にあるこのショップには、
1階から3階までたくさんのテナントの従業員が集まってきました。
この話を、のちに私に話してくれた友人も、
そのやじうまの一人でした。
商品を入れるケースはガラス製で、
落ちれば間違いなく床で粉々になる状況だったそうです。
ですが、割れるどころかどこにもヒビひとつ入っていなかったそうです。
警察が到着する前、従業員たちがあれこれ原因を考えたそうです。
前日にガラスケースを清掃しながら、フタを閉め忘れてしまったとか、
誰かが意図的にイタズラしたとか、論議はなされるものの、
結論には至らなかったそうです。
そこで、事故の発端を調べるために、
前日の防犯カメラの映像を観ることにしたそうです。
すると、そこには従業員たちにとって、
信じられない光景が映っていたそうです。
防犯カメラは、事実を写しだしていたのです。
映像には驚くべきことが記録されていました。
それは。ケースからガラスのフタがひとりでに開き、
ゆっくりと舞うように床に降りていったそうです。
みんな、自分の目を疑ったそうですが、
良くない噂が流れてしまうと営業に支障が出るとのことで、
従業員は口外無用を約束させられたそうです。
今だからこそ教えてくれるのですが、
そのショップにはおかしな影や鳥肌が勝手にできてしまう
スポットがたくさんあったらしく、従業員泣かせだったそうです。
今は経営破綻でただの無人に近い建物と化してしまいました。
まだ一件だけ生き残っているテナントはありますが、
そこの従業員が何か不思議な出来事を口外することはありません。
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