切り出しチョンマは、
おそらく私の住む地域限定の霊的な生き物の話だと思います。
ネットにも何の情報もありませんから…。

この話を聞いてから、
幼かった私はしばらく眠れなくなりました。

切り出しチョンマは、
夜中になるとどこからともなく現れます

そして寝ている人間の傍に近寄って
じっと暗闇の中で眺めています

もしその人間の寝相が悪く、
布団やベッドからはみ出してしまうと、
切り出しチョンマ寝ているところを
いきなりはみ出した部分のみ
切り落としてしまう
そうです。

はみ出した体の部位によっては
切られた者が命を落とすことも
あります。

かまいたちの怪にも似ていますが、
はみ出したところのみ切り落とされるそうなので、
滅多切りにするかまいたちとは少し部類が異なります。

その生き物の名は「切り出しチョンマ」。

なぜそう呼ばれるのか
一体どんな道具を使って人体を切り裂くのか
まったく分かっていません。

もともとは寝相の悪い子供を諫める
都市伝説のようなものだったかもしれません
が、
このチョンマという生き物、年齢や性別問わず、
ある日突然誰かの枕元に現れるのだそう
です。

夏の暑い日に寝苦しくてゴロゴロしていると、
ふとこの切り出しチョンマの存在を思い出して、
布団からはみ出した手足を引っ込めます。

寝苦しく夢うつつの時分に思い出すことが多いため、
眠りが浅くなり、翌朝は寝覚めが悪いことが多いです。

切り落とした部分は
チョンマの食糧になるのだそう
です。

つまりチョンマは生存のために人間を切り裂くのです。

不幸なことに狙いをつけられた者は、
その夜のあいだ中、行儀よく手足を
布団に収めて眠らなくてはならない
のです。