此れは、母の体験談です。
母は私の産まれる前から、
看護師をしております。母は怖いものなど無いのではないか
と言う風に見えますが、そこはベテラン看護師。昔は、学生時代、手術の立会いだけでも、
気絶した程です。そんな母からは、特に怖い話など
聞いた事がありませんでした。私も妹も、姉妹で、怖い話が苦手だったのです。
ですが、思春期の頃は、怖いもの見たさで、
怖いTV番組等見ていました。怖い体験をした事がない幼い頃でしたので、
何かと身近に怖い話しがあったらドキドキするなぁと思って、
母に軽い気持ちで、“何か怖い話しはないか?”と、聞きました。今までは、特に、そんな話しをした事ない母。
少し黙った後、“一度だけ、ある”と、話し始めました。私も、少し緊張して、ドキドキしながら、
話しの続きに耳を傾けました。病院の患者さんが入る部屋で、
ベッドには、誰もがご存知の通り、
ナースコールが付いています。当時、夜勤をしていた母。
霊感などある筈もなく、仕事に慣れ始めた頃でした。“誰もいるはずのない部屋”から、
ナースコールがあったのです。誰かのイタズラかなぁとは、思いましたが、
時間は深夜。誰もが寝静まった時間で、重病の患者さん等、
小まめにナースコールを鳴らす個室でも無い。心配になり向かうと、
当然、其処には誰も居なかったわけです。その病棟のナースセンターには、
たまたま、母がヘルプで行ってた時代?でした。本来のナースセンターに居なかったので、
後から知ったそうなのですが、
その部屋の患者さんは数日前に亡くなられたそうです。それが唯一、霊感のない母の不思議体験でした。


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