私には5歳年上の姉がいます。
姉と私は同じ部屋に二段ベッドを置いて使っていました。
姉は中学3年生の時に、少し体調を崩していました。
姉は受験勉強で遅くまで塾に通い、疲れていました。
そして思春期の多感な時期もあって、
親とよくケンカをしていました。
ストレスのせいかよく情緒不安定になっていて、
私は可哀想だなと思っていました。
ある朝、私が目を覚ますと、
二段ベッドの下にいるはずの姉がいません。
おかしいなと思い、親の部屋へ行くと、
姉は母親と一緒に布団の中で寝ていました。
母親とはケンカをしていたのに、
一緒に寝るなんてどうしたんだろうと思いました。
私は起きてきた姉に、事情を聞きました。
でも姉は答えてくれません。
しつこく聞くと、
重い口を開いて教えてくれました。
昨夜の事です。
姉は塾の後、
眠気に襲われながらも宿題を済ませました。
やっと眠れる…と、
姉はベッドの中に飛び込みました。
ウトウトしかけたその時です。
突然姉の身体が動かなくなりました。
初めての金縛りに、姉はパニックになりました。
声をあげたくても、口が動かないのでできないし、
身体中が石のように硬くなって身動きがとれません。
自由に動くのは目だけだったそうです。
パニック状態の姉の目の前に、
ヒュン、と何かが現れました。
暗闇の中、目をこらしてみると兵隊さんの顔でした。
姉が寝ていたのは二段ベッドの下なので、
やろうと思えば私の寝ている上の段に手が届きます。
私に何度も助けを求めようとしたのですが、
身体が動かないので出来ないのです。
姉の目の前に、兵隊さんの顔が浮かんでいます。
姉は力を振り絞ると、なんとか首が動いたそうです。
そこで兵隊さんを見ないように、
右を向く様に首を傾けました。
すると、兵隊さんは姉の方にサッと移動して、
姉の顔を見てニヤリと笑ったそうです。
姉はそこで失神し、起きたら朝になっていたので、
母の部屋に逃げたという事でした。
姉が兵隊さんを見たのは、
その一度きりという事でした。
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