んぼぼぼさん、とは
私たちの学校で語られている都市伝説です。

うちの学校はブレザーなんですけど、
んぼぼぼさんは学ランを着ていて
何も書いてない本をずっと読んでます。

顔はわかりません。
いつもビニール袋みたいなのを被ってるんです。

しゃべれなくて時々『んぼぼぼ』って音が聞こえるから
んぼぼぼさんって呼ばれてます。

あと白い本は絶対に触っちゃいけません
触ったらその人が次のんぼぼぼさんになるからです。

触ってから大体3~4日で
んぼぼぼさんになる
んだと思います。

隆君がそうでしたから。

ある日、隆君が何も書いてない白い本を持ってきて
んぼぼぼさんから奪ってきた』って誇らしげに言うんです。

みんなんぼぼぼさんになりたくないから、
その本には触らなかった
けど、隆君は得意げに掲げてました。

隆君がおかしくなったのはそれからです。

隆君は休み時間には校庭でサッカーをして過ごす人なんですけど、
その日からずっとんぼぼぼさんの本を見つめてるんです。

あの何も書いてない本を、です。

友達が話しかけても生返事ばかりで
聞いているのかいないのかわかりません。

隆君がんぼぼぼさんになったっていう噂は学校中に広まりました。
うちの学校では結構有名な都市伝説だったんです。

隆君がんぼぼぼさんに変わったのは、
上級生の人とかいろんな人たちが隆君を見物しに来た時でした。

廊下は通行できないくらい人が集まってたんですけど、
次の瞬間隆君の体が少しブレたかと思ったら
一瞬でんぼぼぼさんになった
んです。

大騒ぎでした。

最初はざわざわするくらいだったんですけど、
少ししたら蜂の巣をつついたような感じで。

隆君は今入院してるって聞いてます。
今も何も書いてない本を読んでるらしいです。

んぼぼぼさんのままで。

ちなみに可哀そうとかは思ってませんよ。
だって隆君は目的を達成したんですから、満足でしょう。