うちの家は田舎でコンビニへ行くのにも十キロ、スーパーなんてもってのほか。ここらは昔虐めていたやつ以外に若いやつなんていないからだれも頼る当てがない。そこでネット注文で食材を取り寄せようとなり、一緒に住んでるばあちゃんとやってみることに。

ばあちゃんは昔から足腰が悪く車も乗れない、俺も介護で忙しくて免許を取りに行く時間なんてない。野菜、肉、飲み物。今回は試しだから、少量だけ。数時間後、普段ならないインターホンが鳴り俺はワクワクしながら玄関まで駆け寄った。発泡スチロールに詰められたおいしそうな野菜を見て、ばあちゃんと俺は喜んだ。

配達員さんも愛想がよくて食材もおいしそう。それから毎日のようにそのサービスを使うことにした。

1か月が過ぎ、不思議な事が起った。なぜか二度野菜が届いたり、頼んでもいない食材が届くようになった。使うものだからと別に気にしていなかった。日にちが経つにつれてそれはエスカレートしていった。

ある日、愛想のいい配達員さんに聞いた。

「ねぇ、時々頼んでないものまで届いたり、二度配達しに来る時あるけどミス?別に使うものだからいいんだけどさ、なぜかばあちゃんもここ最近体調悪いしもっと新鮮な食材を頼むよ」

「…申し訳ありません、ですが配達員は私のみですので一日に二度配達したことはありませんよ?」「じゃあ、あのもう一人の不愛想な俺と同い年くらいの子は…?」状況をつかめていない配達員さんはそのまま確認のため帰っていった。

それから数分後、再びインターホンが鳴った。そしてあの不愛想な男の人が立っていた。

「あの、さっきの人にも言いましたけど、二度は注文してませんよ?」

「あーあバレちゃった、死ぬまでバレたくなかったのにな」
その男は不敵な笑みを浮かべて立ち去って行った