食器棚を整理していた彼は、奥に隠れていた割れた茶碗の欠片を見つけた。白い陶器に赤いひびが入っていて、触ると妙に温かい。捨てようとしたが、なぜか手放せず、机の上に置いた。その夜、台所からカチャリと音がして、見に行くと欠片が床に落ちている。
翌朝、欠片はまた机に戻っていて、今度はひびが少し広がっていた。夜になると音が続き、ある晩、目を覚ますと、欠片がベッドの横に転がり、ひびから赤い液体が滲んでいた。彼は恐怖でそれをゴミに出したが、次の朝にはまた机に置かれている。
今では、夜ごとに音が近づき、彼の手元に欠片が現れるようになった。


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