壁のカレンダーをめくった彼女は、来月のページが真っ白なことに気づいた。日付も曜日もなく、ただ白い紙が綴じられている。不思議に思いながらも放置したが、その夜、カレンダーの前を通ると、かすかに鉛筆で書くような音がした。見ると、白いページに「ここにいる」と殴り書きされていた。

慌てて破り捨てたが、次の朝、新しいカレンダーにはまた白いページがあり、今度は「見てる」と書かれている。夜になると音が大きくなり、ある晩、カレンダーが勝手にめくれて、彼女の名前がびっしり書き込まれていた。友人に話すと、「その家、昔、時間が止まったって噂があったよ」と言われた。彼女は今、カレンダーを壁から外したが、背後に書く音が聞こえる。