家の裏庭を草むしりしていた彼女は、小さな石碑を見つけた。苔に覆われ、文字は読めないが、触ると妙に冷たい。夜になると、石碑の周りでカサカサという音が聞こえ、窓から見ると、暗闇に白い手が石碑を撫でているように見えた。翌朝、石碑に赤い染みが付いていて、拭いても消えない。
それ以来、音は毎夜続き、ある晩、石碑が庭の中央に移動していた。恐る恐る近づくと、地面から白い手が伸び、彼女の足を掴もうとした。悲鳴を上げて逃げたが、次の夜、石碑はさらに家に近づいている。近所に聞くと、「その庭、昔、埋められたものがあるって噂だったよ」と言われた。彼女は今、裏庭を見ないようにしている。


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