写真家が古いフィルムを現像すると、写真に染みが滲んでいた。捨てても次の写真に現れ、夜、染みが動く。月夜の下、染みが写真から這い出て、彼の名前を呼ぶような囁きが響いた。カメラを捨てたが、染みが追いかけてくる。

友人に聞くと、「そのフィルム、昔、変なことがあったって噂だよ」と教えてくれた。写真家は目を閉じるが、染みがどこからか近づいてくる。… … … あれはまだ写真にいるのだろうか。