以前、とある山にドライブに行ったときのことです。
夕方になりそろそろ帰ろうと思っていると、
道に迷ってしまいました。山道をウロウロと走っていると、
工場のようなところに辿りつきました。こんな山奥に工場があったんだと思いながらも、
働いている人に道を聞きにいこうと中に入っていきました。建物の中には、古い車やグシャグシャになった車が
山積みにされています。そこは、古い車や事故で廃車となった車のスクラップ工場でした。
働いている人を見つけ、無事に帰る道を教えてもらいました。「薄暗くなるとなかなか気味が悪いところだね」と話していると、
昔ここの工場であった奇妙な話を聞かせてくれました。今はもう働いていないスタッフが体験した話だそうです。
彼がいつものように、クレーンで車を積み上げていたとき、
どこからか「シュッシュッ」と音が聞こえてきたそうです。最初はあまり気にしていなかったそうですが、
ずっと音が続いているため、なんだろうと周りを見渡していると、
積み上げられた車の1台のワイパーが動いているではありませんか。バッテリーは外したはずなのにおかしいなと思いながらも、
車を確認に行ったそうです。ワイパーが動いている車は一番上にあるため、
下の車からゆっくり登っていきました。ようやく車にたどり着き、運転席をのぞき込むと、
そこには血だらけの女が前をじーっと見つめていました。びっくりした彼は、そのまま車から転落し、
気を失ってしまったそうです。気が付くと、他のスタッフに運ばれ、
休憩室で横になっていたそうです。様子を見に来たスタッフが、
「ケガしてるみたいだね。服に血が付いてるけど大丈夫?」
と心配してくれました。しかし、彼はどこにもケガをしていなかったそうです。


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