当時、後輩のM君が某ピザ屋さんで
デリバリーのバイトをしていた時の怖い話です。

M君は何件かのデリバリーを終え、時計の針はもうじき
ラストオーダーの23時30分を指そうとしていました。

いつもならこの時間になると注文は入らないのですが、
その日はラストオーダーギリギリに注文が入り、
M君がデリバリーをする事に。

めんどくさいと思いながらも準備をして、
注文を受けた住所まで向かいました。

着いた場所には13階建の古びたアパートがありました。

エントランスに入ると、床に黒ずんだ赤い染みのようなものが…。
M君は少し気味が悪いなぁと思いながらも、
さっさと仕事を終わらせて帰るためにお届け先の13階の
1305号室へと急ぎました。

怖いイメージを持ったまま乗る
夜の窓ありエレベーターほど怖いものはない
と思いながら
13階に着き、ピザを届けて代金ももらい、後は帰るだけです。

最初に感じた気味の悪さは、今でははっきりとした寒気に変わり、
M君は自然と足早になっていました。

なぜか早くこの場を離れなければいけないと感じつつ、
鼓動は少しずつ、少しずつ早くなっていきます。

エレベーターに乗り込み1階のボタンを押し、
M君は”閉”のボタンを連打していました。13……12……11……
何も起きないでくれよと願いながら手にはじんわりと汗が…。

10……9…?窓ごしに白いワンピースを着た黒い長い髪の女性が…
8…おかしい、、上の階に居たはずなのに…7…エレベーターが
階を降りていくごとに…6…その女性も降りてきて…5…近づいてくる
4…やがて…3…ドンッッ!!!!!!!!

窓に女性がへばりつきこっちをにらみつけ、
もうダメだと目を瞑った瞬間…チン!

という1階にエレベーターが着いた音に我に返り、
エレベーターのドアが開いた瞬間、M君はギョッとしました。

そこには赤ちゃんの人形を乗せたベビーカーが……
ベビーカーを避けて、M君は一目散にアパートを後にしました。

後から聞いた話によると、どうやら1年前にあのアパートで
通り魔殺人事件が起こり、その時の被害者が女性と赤ちゃんの親子で、
エントランスの黒く赤い染みは二人の血痕だったのです。

程なくM君がピザ屋をやめたのは言うまでもありません。