これは私が小学生のころ体験した、
実際にあった怖い話です。

時期は夏休み、学校で開かれていた
プールの帰り道でのことでした。

その日もとても暑く、
汗をだらだらとかきながら家路へ急いでいました。

周りを山々に囲まれた静かな田舎道を歩いていると、
向こうのほうから黒服を身にまとった男が見えました。

なぜこんな真夏、ましてや昼間でも人通りのない田舎で
あんな暑い服装をしているのだろう?と疑問に思いましたが、
一本道であったので、このまま歩いていけば
私とすれ違うことは避けられませんでした。

当時、学校や親の教えで
道で出会った人には、誰にでも挨拶をしなさい」と
言われていたものですから、不気味ではありましたが、
私は黒服の男にすれ違いざま「こんにちは。」と言いました。

すると、男は青白い顔をこちらに向け、
どこか申し訳なさそうな声で
ああ、すいません・・・。」とだけ残し、
そのまま行ってしまいました。

この時点で少しゾッとしましたが、
好奇心には勝てないもので、
私は少し時間を空けてから男のほうを振り返ってみました。

すると、振り返ったと同時に遠くのほうで男が
申し訳なさそうな顔をしながら、私に会釈をし、
また行ってしまいました。

一体あの男は何者だったのだろう・・・と
男が歩いていく様をしばらく眺め、
気味が悪いから帰ろうと私は変える道のほうへ振り返りました。

そこには、さっきと同じ黒服の男が申し訳なさそうな顔をして
私の目の前に立っていました。

私は怖さのあまりそのままその場から逃げ、
近くの納屋に身をひそめ、
夕方になるまでガタガタと震えていました

その後何も起こりませんでしたが、
今でも黒服の男をみると当時の記憶がよみがえります。