母が大学生だった頃の怖い話です。
仲間6人で旅行に行くことになり、
倹約のためにユースホステルを予約していたそうです。
しかし急に安くあげたかった2人が来れなくなり、
残りの4人は旅館に泊まろうということになり、
電話帳で調べ始めました。
良さそうな旅館を予約することができ、いざ向かうと…。
思ったよりも随分とさびれており、
営業しているのか不安になるような旅館だったそうです。
しかし今と違って外観も見ることができず
予約したのだから仕方ないと、いざ入ってみることにしました。
入ると、明らかに大急ぎで間に合わせましたという対応。
障子も破れており襖もボロボロ。
そしてなんとも言えない嫌な感じがしたそうです。
他に泊まり客も見えず、女将しか出てきません。
しかし泊まれるということなのでお茶をいただいていましたが、
やっぱり居心地が非常に悪い。生臭い匂いもしたそうです。
これはやはりおかしいと思った一行は旅館を一度出てみました。
するとさっき見た覚えのない立派な旅館が隣にあるではありませんか。
尋ねてみると予約は確かに入っているとのこと。
どうやら旅館を間違えたようです。
さっきは目に入らなかったことに首をひねりつつも一泊し、
翌朝旅館を出ると、確かに昨日足を踏み入れたはずの
さびれた旅館がありません。
確かにこの隣にあったのに、影も形もないのです。
ぞっとしてその場を離れたそうです。
もしあちらのさびれた旅館に泊まっていたら、
母は今ここにいるのでしょうか…。
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