これは私が小学校低学年の頃の怖い話です。
その頃、私たち家族は、かなり古いアパートに住んでいました。部屋も狭く6畳2間と狭い台所、
お風呂、トイレがあるだけのところでした。ある日のお風呂上がりのこと。
パジャマを着なさいという母の言うことを聞かず、
下着姿で椅子の下や当時持っていたオルガンの下などを
くぐって遊んでいました。オルガンには1mほどの足がついていて、
壁に沿うように置いてありました。数分間、くぐって遊ぶことを繰り返し、
数回目にオルガンの下に潜った直後、
オルガンの脇の壁にぼやっとした影が現れ、
「ウォ」というような低い音を出して動いたのです。私はぎょっとして、その場を飛び退きました。
影はすぐに消えたのですが、怖くて怖くて、
母にしがみついていたのを覚えています。母もこのことを今も覚えているそうです。
その場所では、その後影が現れることはありませんでした。それから、何日か経った夜のこと。母に言われて、
壁際に置いてある米びつのなかで、
翌日の朝に炊くお米の量を計っていました。すると、米びつのすぐそばの壁にまた影が現れたのです。
今度は何も音はしなかったのですが、
上半身の影で腕や頭の形がよくわかりました。頭は丸坊主の感じで、腕だけが上に動きました。
驚いて母を呼びましたが、母が来た時点では、
もう影はありませんでした。母はあまり信じませんでしたが、
私は今でもはっきりと覚えています。影の正体は何だったのか、まったくわかりません。
少し大きくなってから、
父が私の後ろから細工をしていたのかなとも思いましたが、
それならば狭い部屋ですのですぐに気づいたはず。その後私は、影が出た壁際には、
不気味で近寄らなくなりました。ちなみに、私が住んでいたアパートは葬儀屋さんが経営するアパートで、
その2階に住んでいました。1階は、全面倉庫になっていて、
お葬式に何度も使われた花輪がたくさんしまってあったことも覚えています。


コメントを残す