これは私がまだ実家に暮らしていたときの怖い体験です。

実家は古くガタがきていて、ドアがうまく閉まらなかったり、
大きな音を立てたりしていました。

その日の昼間、家には私と飼い猫しかいませんでした。

猫を飼ったことがある人ならわかると思いますが、
猫が自由に通れるようにと、何とはなしにどこの部屋のドアも
半開きにしてしまうんですよねw

だからその日もトイレに入った時、閉めると猫が開けてほしそうにするし、
ドアの立て付けも悪くて閉めるのに力がるから面倒で、
誰もいないからいっか。とドアを開けっ放しにしていました。

猫はいつもついてくるわけではなく、
トイレに行く前は他の部屋にいました。

するとふいに、玄関の引き戸がガラガラ!と開く音がしました。

ちなみにこの玄関はどれだけそーっと開けても音が立つので、
普通に開けるとけっこう大きな音がします

そして玄関の開く音がしてすぐ、
こ~ら、ミーコ!何してるんだ」と、うちの猫に話しかける父の声がしました。

私はあられもない格好でトイレ中。
ヤバイ!と急いでトイレのドアを閉めました。

そそくさと用を足していると、疑問が浮かびました。

玄関から人が入ってくる気配がないのです。
そして、再び玄関の引き戸を動かした音もしていません

すべてを済ませてトイレから出た私は、すぐに玄関へ向かいました。
上がり框の玄関マットの上には、確かに猫が寝そべっていました。

しかし、玄関には父の靴が見当たりません
それどころか、玄関は閉まっているのです。

音を立てずに動かすのは不可能な、
玄関の引き戸の音は1回しか聞こえなかったのに…。

そのときは昼間だったことと、猫がかまってアピールを始めたので、
少し疑問に思う程度でした。

その後も、私たち家族に異変が起こることもなく、
みんな元気に過ごしています。

ただ、当時を思い出して考えるのです。

もしあの時、あの「父の声をした何か」と鉢合わせしてしまっていたら、
どうなっていたのだろう…と。