あるところに大きな墓地がありました。普段から人っ気のない場所で周りは林で覆われていて明かりもありません。その日は真夏の夜でした。とても暑い日でした。３人の男の子が墓地で遊んでいました。

暗くなってきたのでのでそろそろ帰ろう思っていた矢先、墓地の陰から薄汚い身なりの男が現れ、「お前たちいいい、待てぇぇええ」と奇声のような声をあげて来ました。

「ぎゃあああああ」男の子たちはびっくりして走って入り口まで逃げました。

しかし入り口に着いたところで、ある１人の少年が墓地の奥に小銭が入った大事な巾着を落としてきてしまったと言いました。しかしすでに日は落ち、あたりは真っ暗で墓地の中には入れそうもありません。変な男もいるので尚更墓地には入れない３人。

そんなとき、後ろに赤子を背負ったお母さんがやって来ました。

「どうしたんだい？あなたたち」とお母さんが慌てている男の子たちに声をかけました。

「僕、お金の入った巾着を落としてしまったんだ。」少年はお母さんにそう訴えました。

「なら私が取って来てあげよう。」とお母さん。

「やった。ありがとうございます」と少年たち。

「取って来たお礼に巾着のお金を少しわけておくれ。この子にご飯を買ってあげたくてね」とお母さん。

「しょうがない、いいよ。」と少年が言いました。

そして「この鎌を持って行ったらいいよ」と別の少年が言い、お母さんに渡してあげました。「変な男が墓地にいるから気をつけて行って来てね」と少年が労い、お母さんは赤子を背負ったまま墓地へ入って行きました。

少し奥まできたところで、ガサガサガサという音が聞こえて来ました。音はだんだん近づいてくるようで、その瞬間、お母さんの首元にヒヤッと冷たいものが触れ締め付けるように触って来ました。

「やめてぇぇぇええ」お母さんは思わず叫び、持っていた鎌を自分の背後で振り回しました。数回振り回したところで、冷たいものは離れて行きました。そしてついに巾着を見つけ、元来た道を急いで帰りました。

「ほら、あったよ。これだろ」とお母さん

「この巾着だよ。ありがとう。それよりも変な男には会わなかった？」と少年が尋ねました。「いたと思うよ。でも鎌でやっつけたのさ」とお母さん

少年はお母さんにお金を少し分けてあげ、お母さんはじゃあと行って去って行きました。しかしその後ろ姿を見た男の子たちが悲鳴をあげました。