山間の小さな町に某小学校があります。
一階の校舎にある、生徒用の女子トイレにまつわる
こんな恐ろしい噂が今も残っています。ちょうど戦後の動乱期のこと。
質屋の女店主が殺されました。その姿は惨たらしく、
死体を引き上げた警察官も苦労したそうです。詳しい事情は分かりませんが、
概要は今も伝えられています。その店主から金を借りた女性が、
返済を迫られたことに腹を立てて、
包丁で刺し殺したうえ、便槽の中へ
その女性を頭から落としたそうです。ちょうど、金田一耕助の事件のように。
昔の便所は、汲み取り式ですから、
糞便にまみれた中へ頭から突き落とされたのです。その後、容疑者は特定されましたが、
証拠不十分で釈放され、大往生を遂げました。それから数十年後。その土地に小学校が建てられました。
あの女性が殺された場所に、生徒用の女子トイレができました。女子トイレに、便器は5つあります。
もちろん、水洗トイレです。奥から数えて2番目のトイレの扉が風もないのに
ガタンと動いたり、夕刻が迫ると女の人の泣き声が
聞こえてくるそうです。その小学校の用務員が見回りをしていたときに、
トイレで女の人を目撃したこともあるそうです。平成の世の中になり、今となっては
この事件を知る人も少なくなりました。ほぼ1世紀も前のことですからね。
昔のことは誰も知らないから、
意外とこんな場所はどこでもあるかもしれませんよ。
あなたが住んでいる街や都市にもね。このお話は、
そこの小学校を卒業した人しか知りません。


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