これは実際に、身近で体験した話です。
震災の内容も含まれますので、
ご不快に思われる方は避けてください。私の通っていた小学校は、
傾斜のある坂の上にありました。所謂墓地跡で、怪談の絶えない校舎でした。
森のような茂みに囲われており、
私も一度だけ変なものを見ました。白い服の血だらけの女の人です。
すぐ消えてしまったので私もあまり深刻に考えず、
登校していました。校舎内の奥まったところに、
不自然に曲がった廊下もありました。何かを避けているように建てられています。
昔霊能者の方をお呼びした時に、
その廊下より先はいけない、と言われたそうです。実際に校舎内事故で
両親からそう遠くない学年の方が
亡くなられていたそうで、
子供ながらに薄気味悪い校舎でした。そんな校舎も、私たちが十代半ばに差し掛かった頃
移設になり、廃墟になりました。校庭には何度か足を運びましたが、
その時には草が生えつつありました。そんな頃、大きな震災がありました。
長く続いた停電があけた頃、
私は母に学校へ迎えに来てもらったのです。ちょうど小学校の下の坂を通った時、
母が急に黙ってハンドルを切りました。そのまま少し走った後で、私に言いました。
「ねぇ、今の見えてた?l
「何が?」「男の人と子供、坂から降りてきた」
「小学校から?」坂の上には、小学校だけしかないのです。
「でね、急に道路を渡ったからひいちゃうって思ったんだけど、
急に消えちゃったの、やっぱおばけかな」「私、見えてなかったよ」
寒気を感じながらそう言うと、
母はそっか、とだけ答えました。母方の祖母は霊感が強く、
母も少しその血を引いていたのです。幸いながら私は見えませんでしたが。
後から聞いたところ、
当時御遺体の安置所が足りずに、
廃墟の校舎が使用されていたそうです。悲しくなりましたが、優しいと寄って来てしまうのよ
と言われやめました。お家に帰る途中だったのかも知れません。


コメントを残す