これは昔務めていた病院で起こった不思議な出来事です。
私は以前某所にある産婦人科に務めていました。病院といえば心霊現象が起こるとよく言われますが、
私の病院もその例に漏れることはありませんでした。小さな病院でしたから、医師・看護師・受付を合わせても数名ほどで、
その日誰が出勤しているかは全員周知していましたし、
どこで誰が何をしているのかまで基本的に把握できるほど小さな病院でした。職員の中に受付の20前半の若い女の子がいたのですが、
とても優しくて気の利くいい子でした。この人を仮にAさんとします。ある日オペ室で作業をしていると不意にAさんから話しかけられました。
しかし振り向いても誰もおらず、空耳かなと思い作業に戻りました。すると再度声をかけられます。
間違いなくAさんの高い声です。遠くから呼んでるのかな?と思い、
受付へ行くとAさんは患者さんの対応をしていました。おかしいなと思いAさんに「さっき声をかけに来た?」と聞いても
いいえと答えるばかりでした。ずっと患者さんの対応をしていたそうです。そのようなことが数日続き、
今度は診察室についていた時のことです。後ろを誰かが通り過ぎる気配を感じ振り返ると、
Aさんの長い三つ編みが見えたので
何か用があって通ったんだなと思い、あまり気に留めませんでした。診察が終わりカルテを受付へ届けようとすると
そこにはAさんが座っていました。Aさんは先程自分の後ろを通り過ぎて受付から真逆の方向へ進んでいったはず・・
この病院は少し不思議な造りで、受付からそのまま外へは出られません。かならず診察室を通らなければ受付へは戻れないのです。
なので自分の背後を通過したなら
再度そこを通らなければ受付に戻れるはずがないのです。恐る恐る「Aさん、さっき受付から離れなかった?」と尋ねると
「いいえ?ずっと受付でBさんと一緒にいました」Bさんというのは私の先輩のベテランの看護師さんです。
BさんもずっとAさんと一緒に居たといいますから間違いないでしょう。私も間違いなくAさんの後ろ姿を見たので食い下がろうとしましたが、
Aさんはとても怖がりで怪談など苦手な人でしたので、
その場はそのまま収めました。帰り際Bさんから
「最近Aちゃんの真似をする子がいてね。
悪い事はしていないからちょっと見逃してあげてね。
これはAちゃんには内緒にしとて」
と言われました。「真似をする子」
要するに子供の霊がAさんの姿をしていたずらをしているということでした。
なぜ子供の霊なんだと思いますか?ここは産婦人科、赤ちゃんが生まれてくる場所です。
しかし、同時に死んでいく場所でもあります。死産ではなく中絶という形で・・
生まれたくても生んでもらえなかった子達が
成仏できずに遊んでいるのでしょうか今でもその「誰か」はたびたび姿を現すそうです。


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