叔父から聞いた話です。
叔父が40代のとき、虫垂炎を患い
急遽入院することになったそうです。
手術も無事に終わり、あとは4、5日ほどの入院生活。
兎に角、暇な毎日で、そんなときに、
友人のAさんがお見舞いに来てくれて、
暇を持て余している叔父にこんな話をしてくれたそうです。
A
「お前、こんな話知ってるか?
ある病院の裏に小さな墓地があってな、
その先に小さな火葬場があるんだよ。
その火葬場、入り口が固く閉ざされていてな、
外からは入れないんだよ。
そして窓も全て塞がれていて中の様子など全くわからないんだ。
でもな、何かの拍子で中が覗けることがあるんだよ。
で、その中の「あるもの」を見てしまうとな、
見た人間は死んでしまうんだって。」
叔父「なんだよそれ」
A「そういう話があるんだよ。」
叔父「うそだあ。」
A「いや、あるんだよ。」
そんなやりとりをしてAさんは帰っていったそうです。
そして、叔父のほうも無事に退院して仕事に復帰。
そして、しばらくして今度はこのAさんが
入院することになってしまい、
叔父のもとに電話があったそうです。
叔父
「なんだ、今度はお前が入院かよ。
で、どんな具合なんだ。」
A
「検査でしばらくの間入院なんだそうだ。
暇なんだ来てくれよ。」
叔父
「おお、時間を見つけてそのうち行くよ。」
一週間ほどしてまたAさんから電話があったそうです。
叔父「なんだ、まだ入院しているのか。」
A
「どうも手術をしなくちゃならないようでな。
なあ顔見せに来てくれよ。」
叔父
「なんだよ手術が怖いのか。大丈夫だよ、
麻酔で眠っているうちに終わっちゃうから。」
A「うん、それはわかってるんだけど、まあ来てくれよ。」
叔父「わかったわかった時間みつけて行ってやるよ。」
それから3日もたたないうちにまたAさんから。
A
「なあ、来てくれよ。頼むよ、なあ、来てくれよ。
な。来てくれよ。な。」
いつものAさんと違う。
声が尋常じゃない。
翌日、叔父は仕事を休んで
Aさんのお見舞いにいきました。
病室の窓から外を見て
佇んでいるAさんの痩せ細った姿にゾっとしたそうです。
励ましの言葉をかけて病室を出ようしたときに、
Aさんが言ったそうです。
A「オレ、見ちゃったんだよ。」
叔父「ん。」
A
「オレ、見ちゃいけないものを見ちゃったんだよ。
だから死ぬかもしれない。」
叔父「何言ってんだよお前。」
A「前にお前が入院したときに火葬場の話をしたよな。」
叔父「ああ、病院の裏にあるっていう。」
A
「この病院の周りを散歩してたときにな、
オレ見つけちゃったんだよ。で、中を覗いちゃったんだよ。
中はものすごく明るくてな、それで中央に棺がおいてあるんだよ。
そこでやめときゃよかったんだけど、オレ気になってな。
さらに覗きこんじゃったんだよ。
そしたら、棺の中に何かあるんだよ。
それで、さらによーく見てたらな・・・・
それ、オレだったんだよ。オレ死ぬかもしれない。」
それから一週間後、Aさんは亡くなったそうです。
その後、気になった叔父が
その病院の周りをまわってみたそうです。
たしかに裏に小さな墓地があったそうです。
しかしいくら探しても、
ついに火葬場は見つからなかったそうです。
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