ある街に長年空き家になっている
大きなお屋敷がありました。

そしてそのお屋敷の一室には
おびただしい数のてるてる坊主がぶら下がっている

という奇妙な噂がありました。

ある時、街の不良少年たちが面白半分に
そのお屋敷を使って肝試し
をすることになり、
ちゃんとお屋敷の中まで入った証に、
各自噂のてるてる坊主を取ってくる
というルールで実行されました。

少年たちがお屋敷に入ると、
噂のとおり、古い家具の様子から
昔女性が使っていたらしい一室に
無数のてるてる坊主がぶら下がっていました

彼らは内心肝を冷やしながらも、
ルールどおりに一人一つづつ、
てるてる坊主を持ち帰りました。

少年たちは皆てるてる坊主を不気味に思いながらも、
なんとなく捨てることもできずに
そのまま持って帰ることにしましたが、
Aくんだけは自分が取ってきたてるてる坊主を
「気持ちわりぃ」と笑いながら皆の前で
ライターの火で燃やしてしまいました

それから数日は何事もなく過ぎましたが、
久々に1日中激しい雨が降った晩
家で寝ていた少年たちは、
突然の金縛りで目を覚ましました。

そして目だけしか動かすことができずにいる彼らの耳に、
誰かのすすり泣きが聞こえてきました。

見ると長い黒髪の女性が手で顔を覆い、
雨が止まない…てるてる坊主が足りないから…」と
泣きながらゆっくりと近づいてきます。

それから突然パッと顔を上げ、
既にこの世のものではない恐ろしい顔で
「返せ!」と叫びました

少年たちは震え上がりながらも
なんとか捨てずにおいた
てるてる坊主を返して事なきを得ました
が、
Aくんだけはその日から連絡が取れなくなり
後日お屋敷の例の部屋でてるてる坊主と一緒に
首吊り死体となってぶら下がっている所を発見
されました。

後から流れた噂によると、
昔そのお屋敷のお嬢様がお金目当ての男に騙され
心身を病み、彼に酷い捨てられ方をした
雨の日を嫌って、若くして亡くなるまでずっと雨が降る度に
泣きながら部屋に吊し続けていた
のが、
あの無数のてるてる坊主だったそうです。