わたしの友人Aちゃんはいわゆる『見える人』というやつで、色々と不思議なものを見たりすることがあるそうです。

見えるというだけで何かができるわけじゃないけれど、部屋探しをするときの物件見学に同行してほしいと頼まれて、何度か行ってあげていたようでした。先日も少し遠方の友人B君に、交通費も食費も出すからと頼まれて出かけたそうなのですが、その時のことをとても気にかけているようでした。

Aちゃん曰く、B君と一緒に物件には行ったのですが、あまりにも空気が重くて建物にすら入れなかったそうです。

不動産屋さんに聞いたところ、人の入れ替わりは多いが事故物件ではないというし、何より立地がとても良くて気に入っていたのでほぼ本決まり状態だったようなのですが、Aちゃんはここは本当にやめたほうがいいと訴えたそうです。

B君もその時は、わかった、他を探すよと言っていたのですが、結局その部屋に住むことを決めてしまいました。他にもいい物件はあったけど、あの部屋が諦められなかったと。

その話を聞いてから3か月ほどたったある日、B君が事故に遭い、失明してしまったという連絡がありました。その連絡を受けて、私は背筋が凍りました。Aちゃんはあの時、こう言っていたのです。

「昼間に行ったのに、あの部屋を見ようとすると目の前が真っ暗になってしまう。段々痛みが増してきて、その場に立っていられなかった」と。退院後、B君はその家を引き払い実家に戻りました。

B君は命に別状はなかったものの、視力が全くと言っていいほど落ちてしまい、杖なしでは歩けなくなってしまったそうです。あの部屋には一体、何が居たのでしょうか…。