私が幼稚園の頃に体験した話です。
当時私は木造平屋の貸家に住んでいました。
そこは以前化粧品会社の寮に使われており、
古い家でしたが広く、
上から見ると口の字の様な造りになっており
真ん中には中庭がありました。
トイレは洋式の個室の隣に
男性用の立ち小便器の個室がありました。
トイレの位置としては母親の部屋と
兄の部屋の間に人1人分の幅の通路があり、
その奥に個室が2つ並んでいました。
T字の様な感じですね。
ある夜、姉と兄が母親の部屋でテレビを見ていて、
私も一緒に見ていました。
番組が終わった所で私は居間にいる
祖父母の所にいこうと母の部屋を出でました。
その時は廊下の電気も玄関の電気も消えていて、
灯りがついているのは先程までいた
母親の部屋と祖父母のいる居間だけでした。
居間まではトイレに続く通路を通り、
兄の部屋を通って右に曲がります。
暗い廊下を歩き、トイレへの通路の前を通りかかった時、
トイレの方向がなんとなく気になり目をやりました。
すると、暗闇の中に細かい粒子で出来た線で
かたどられた人の形をした何かがヒョコっと出てきました。
背が高く、首から下は人間の形なのですが、
顔の輪郭は横に長く両脇はギザギザというか
グニャグニャになっていて口や鼻は無く、
目は塗りつぶした様な感じでした。
そいつが出てきて目が合った時、
驚きと恐怖で全速力で居間まで逃げようとしました。
その走り出した瞬間、
誰もいない電気の消えたトイレから
水を流す音がジャーーーッ!!と聞こえてきました。
更にパニックになった私は
必死に祖父母のもとに逃げ込みました。
居間に着いた時、
今のは何だったのかと思いトイレの方向を向くと
ヤツは見えませんでしたが、
水の流れる音は聞こえ続けていて
さっきのは勘違いじゃなかったんだと
再び血の気が引きました。
人の形をした何かは見間違いであったとしても、
誰もいないトイレから水が流れたのは事実でした。
人の形をしたあいつも今でも鮮明に覚えています。
思い出すだけでもゾッとする体験でした
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