Aの家に近い所に廃校となった小学校があるのですが、その校舎の廊下には大きな鏡が二つ向かい合わせに配置されており、ちょうど合わせ鏡になるように取り付けられていました。

学校の怪談としては割とありがちな話ですが、午前2時から約30分の間に覗くと自分の未来の姿が写るという噂がありました。その話を聞いたAは、ある夏の夜に女友達のB子やC子とともに夏の余興として三人で行ってみることにしました。

その学校は山の麓にある木造の学校の校舎で、夜に見るといかにもいわくつきの廃校という雰囲気を醸し出していました。玄関を入るとホコリっぽい匂いと体育倉庫のモップのような匂いが鼻にツンとしてきたそうです。

例の合わせ鏡は2階の階段を上って右側の廊下にありました鏡は2枚とも3人が並んで写ることができるほどの結構大きな鏡でした。廃校になってしばらく経っている割には汚れも少なく、意外にキレイに写るのが印象的でした。

噂で言われているように、AとB子、C子の3人は2時から30分の間、怖いモノ見たさでワクワクしながら三人とも鏡を見守りました。

しかし、特に変化はなく、半袖のA、長袖で髪が肩にかかるほどの長さのB子と右サイドポニーで長袖のC子以外に合わせ鏡に写り込むこともなく、30分が経過しました。

B子「未来の私たち、写らなかったね

C子「ちょっとつまらないよね」

と2人が笑いながら鏡の前から去ろうとした時に、Aは違和感を覚えました

髪が背中にかかる長髪のB子と左サイドポニーのC子の後ろ姿を見ながら、違和感の理由にAが気づいたのは校舎を出てしばらく経った帰り道のことだったそうです。

この話は、冬に行われたAの葬式の後で、B子が生前のAから聞いた話として私に語ってくれた話です。