夜の静寂が耳に刺さるほど深まった頃、彼女はふと目を覚ました。時計は午前2時を少し過ぎたところ。理由もなく胸がざわつき、眠気が遠のいていく。カーテンの隙間から漏れる薄い月光が部屋を淡く照らし、妙に冷たく感じられた。ベッドから起き上がり、窓辺に近づくと、外から何かが見ているような気がしてならなかった。
そっとカーテンを開けると、庭の暗闇に浮かぶ一対の目があった。人間のものとは思えない、異様に光る瞳。瞬きもせず、じっとこちらを見つめている。恐怖で喉が締まり、悲鳴すら出なかった。目を離すと消えるかもしれないと、彼女はその視線に耐えたが、次第に頭がクラクラしてきた。
翌朝、庭を確認しても何の痕跡もなかった。ただ、その日から毎夜、窓の外にその目が現れるようになった。カーテンを閉めても、ガラス越しに視線を感じる。ある晩、意を決して懐中電灯で照らすと、そこには何もなかった。でも、振り返った瞬間、部屋の中、鏡の中にその目が映っていた。


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