古本屋で買った手帳を開くと、ページが湿っていて、文字が滲んでいた。読めない字の中にかすかに「助けて」と書かれている気がした彼女は、不気味に思いながらも持ち帰った。その夜、手帳が枕元で開いており、濡れたページから水が滴っていた。慌てて捨てたが、翌朝、また手に持っていた。
夜になると、手帳が勝手に開き、滲んだ文字が「見てる」と変わっていく。ある晩、手帳のページに彼女の名前が現れ、背後に冷たい気配を感じた。手帳を燃やしても、次の日には濡れたまま戻ってくる。彼女は今、手帳の文字が耳元で囁くのを聞いている。


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