夜行列車に乗った会社員は、靴音を聞いた。誰もいないはずなのに、コツコツと近づく響きが車内に響く。翌日、靴跡が席に残り、夜、音が続く。月夜の下、靴音が止まり、隣に黒い靴が置かれていた。捨てても戻り、会社員は耳を塞ぐが、音が頭に響く。

同僚に話すと、「その列車、昔、靴音がしたって噂があったよ」と教えてくれた。会社員は夜に靴音が聞こえるたび、目を閉じるが、背後に気配が漂う… … … あれはまだ列車にいるのかもしれない。