以前私が働いていた病院で体験した話です。
あなたは夜中の病院を
体験した事がありますか?昼の時間は患者や、
看護師がせわしなく走る病棟や、
外来は活気というか、正気に溢れているんですね。一方夜になると静まり返った病院は
なんとなく嫌な雰囲気です。
空気が死んでいるんですよね。そんな雰囲気がなんとなく嫌で私は夜勤の時、
地下の隅にある当直室でいつもゲームをしたり
携帯をいじりながら夜を過ごすのが日課でした。その日は丁度、年に1度だけある計画停電の日で
病院中の電気は落ち、嫌に蒸し暑いんですよね。携帯のわずかな灯りでゲームをするも
すぐにバッテリーが切れそうになったので
仕方なく寝てしまおうと思いました。日付けが変わった辺りだったかと思います。
扉がガチャっと音を立てて開いたみたいなんです。それ自体は珍しい事ではありません。
守衛がたまに見回りや、
施錠のチェックをしていますから。ただその時「パチっ」て音がしました。
多分電気をつけようとしたんでしょうね。案の定停電だったので、つかなかったみたいですが。
変だなぁとは思ったんですけど、
眠気がまさりその時はそのまま寝過ごしちゃいました。その数十分後、けたたましいベルで目覚めました。
消火栓のベルでした。隣の部屋の守衛室からのボヤだったようです。
火元は可燃性の液体がかけられたベッドだったそうです。それを聞いた時にゾッとしました。
守衛室には非常灯があり
それを見て犯人は火をつけたのでしょう。あの時に私の部屋に灯りがついていたなら、
ベッドで寝ていた私は火だるまになっていたのではないかと…それ以来部屋で寝る時の施錠は忘れられなくなりました。
本当に怖いのは幽霊とか怨霊なんかじゃなく
人間なんだという事を思い知りました。


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